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解説:企業サステナビリティ報告指令(CSRD)とは

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Article Overview

「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」は、欧州連合(EU)が施行する新たな法令です。EU域内で事業を行う企業のサステナビリティ情報開示について、報告要件を拡充、標準化するために定められました。

CSRDは企業にサステナビリティ関連情報をもれなく開示させるため、幅広い報告要件を定めています。適用対象国(企業)はEU域内だけでなく、域外の企業にまで及びます。

適用企業には、サステナビリティ関連の課題について詳しい情報開示が義務付けられます。EU加盟国の上場企業だけでなく非上場企業も対象となり、EU加盟国以外の企業でもEU内での売上高が大きい場合は同様の報告要件が課されます。欧州委員会(EUの行政機関)が公表した推計によると、CSRDが適用になる企業は約5万社に上るということです。金融情報会社リフィニティブの分析によると、EU域外の企業への適用は約1万社を超えるとみられ、そのうち3000社余りを米国企業が占めるとの結果が出ています。

EUが出資している民間団体「欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)」は、CSRDの施行を補助する詳細なガイドラインを起草しました。それが「欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)」です。CSRD適用企業が報告すべき内容の詳細は、このESRSで具体的に示されています。

CSRDが全面的な情報開示要件を定めることで、1. 企業のサステナビリティに関する詳細な情報が株主などのステークホルダーに提供される、2. 域内企業と域外企業の間に公平な競争環境が整う、3. 投資家の判断材料となる情報が充実する、といった成果が期待されます。しかし、そもそもCSRDとは何なのでしょうか。各国企業は、どう対応すべきなのでしょうか。

本記事では、CSRDをめぐる最新の状況や、施行スケジュールの要点、報告要件、また、企業ができる事前準備について解説します。スペースの関係上、最も重要な部分の解説・説明に留めますが、より詳しい情報をお知りになりたい場合は、欧州委員会の公式ウェブサイトをご覧ください。

CSRDの最新状況

2022年11月、EU理事会(EU加盟国の閣僚らで構成する機関)はCSRDの導入を最終承認しました。実際の適用は、数年かけて段階的に進んでいきます。最近の主な経緯は以下の通りです。

  • 2022年6月:EU理事会と欧州議会(加盟国民の直接選挙で選出された議員で構成される機関)がCSRDについて暫定的な合意を達成。
  • 2022年8月:欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の第一草稿に関する意見収集を完了。
  • 2022年11月22日:EFRAGがESRSの第一草稿を欧州委員会に送付。欧州委員会が採択に向けて検討。
  • 2022年11月28日:欧州議会とEU理事会がCSRDを最終承認。12月16日付のEU官報に掲載され、その20日後に発効することに。加盟国は1年半以内にCSRDを国内法に反映。

これ以降のスケジュールは、ページ後半に記載しています。

欧州委員会がCSRDを提案した理由

欧州委員会がCSRDを提案したのは、企業によるサステナビリティ報告の質や網羅性、一貫性を高めるためです。CSRDは2013年の「会計指令」や、その後の「非財務報告指令(NFRD)」を進化させる形で生まれました。つまり、過去の指令やガイドラインの最新版にあたる法令です。

CSRDの前身NFRDは、企業がサステナビリティ関連の報告に利用できる基準を指定しませんでした。当時、この柔軟性は長所と考えられたのかもしれません。しかし、突き詰めれば、これは致命的な欠陥だったのです。欧州議会調査調査局(EPRS)は2021年、NFRDの施行状況の評価を発表し、以下の問題を指摘しています。

  • NFRDに基づく報告は、細部に一貫性がない。そのため、ステークホルダーにとって使いにくく、企業間の比較も難しい。
  • NFRDに基づく報告では、金融機関が投融資先企業のサステナビリティ情報を十分に把握できない。そのため、「金融機関向け情報開示規制(SFDR)」の遵守が難しくなることが予想される。
  • NFRDによる現行の情報開示では、ステークホルダーが満足しない。企業は追加のデータ開示を要求され、対応のために報告コストが膨らむ。

2021年のEUの調査によると、何らかのサステナビリティ報告基準を十分に満たしている大企業の割合は、わずか20%にとどまりました。そして、その中で、報告に対する保証や認証を取得している割合は30%でした。

欧州委員会がNFRDに関するパブリックコメントをまとめたところ、上記の問題を解消する方法は明らかでした。報告基準の一本化が有効と考えるコメントが、82%に上ったのです。

このような背景から、欧州委員会は、サステナビリティ報告の共通基準を定めるためにCSRDを作成しました。

CSRDの目標は次の通りです。

  • データと開示の質を標準化、改善する。
  • 投資家などのステークホルダーに提供する情報を、より網羅的で、比較可能で、理解しやすいものにする。
  • サステナビリティ関連活動に対する企業の説明責任と透明性を高める。
  • サステナブルな経済への移行を支える。

‍CSRDが使用する「サステナビリティ」という言葉の定義には、ガバナンスや人権、環境権、社会権といった分野も含まれます。

CSRDはNFRDに比べて詳細な報告基準を定めています。それだけでなく、適用対象も大幅に拡大しています。この点は、投資家の市場理解に役立つだけでなく、脱炭素と経済成長を両立させるEUの成長戦略「欧州グリーンディール」の推進にも役立ちます。

CSRD要件の適用対象

CSRDの適用対象は、1. EU域内のすべての大企業、2. EU域内市場に上場している中小企業、3. EUでの売上高が多い域外企業、の3種類です。

EU域内の大企業は、上場・非上場を問わずCSRDを遵守しなければなりません。ここでの大企業とは、次のうち2項目以上に当てはまる企業のことです。

  • 従業員250人超
  • 年間純売上高4000万ユーロ超
  • 総資産2000万ユーロ超

上記に該当する企業で、すでに非財務報告指令(NFRD)の対象となっている場合は、2024年度からの報告が、それ以外の企業は2025年度からCSRD報告が課せられることになります。

大企業だけでなく、EU域内の上場中小企業もCSRDを遵守しなければなりません。該当するのは、上記の大企業の項目には当てはまらないが、自社の株式や債権がEU内の証券市場で取引されていている企業です。ただし、以下の2項目以上に当てはまる場合は「零細企業」に分類され、CSRDの適用外となります。

  • 総資産35万ユーロ以下
  • 年間純売上高70万ユーロ以下
  • 従業員数10人以下

適用対象となる上場中小企業は、2026年度からの報告が課せられ、CSRD中小企業向け基準に準じる必要があります。ただし、2年の移行期間に限り、要件の適用から外れることも選択できます。その場合、気候関連情報を開示しない理由を経営報告書で説明しなければなりません。

EU域外企業の場合、EUでの年間純売上高が1億5000万ユーロを超え、以下どちらかに当てはまる場合、CSRD適用対象となります。

  • 大企業か上場企業に該当する子会社を域内に持つ。
  • 年間純売上高4000万ユーロ超の支社を域内に持つ。

上記のうち、域内に子会社があるために適用対象となった場合、EU域内国企業と同水準の報告要件が課される見通しです。たとえば、その子会社が上場中小企業なら、EU域内国の上場中小企業と同等の基準が域外の親会社に適用される見込みです。また、EU圏内で大規模に事業を展開している域外企業にも、EUの大企業と同等の基準が適用される見込みです。域外企業向けの詳しい基準は2028年度に発効予定です。

域外企業が注意すべき重要な点があります。それは、EU域内の証券市場に上場している場合、EU企業と同じスケジュールでCSRDの遵守が義務付けられる、ということです。2028年度ではなく、事業規模に応じて2024〜26年度から報告要件が課されます。

具体的な施行スケジュールは、ページ後半に記載しています。実際にいつから自社に報告要件が課されるのか? それにはまず、自社がどのカテゴリに分類されているのかを判別する必要があります。

なお、今回CSRDの適用外となった企業も、自主的に報告し、サステナブルな経済への移行に貢献することが奨励されています。

CSRDの報告要件

CSRDの適用企業は、幅広いサステナビリティ関連情報をもれなく報告しなければなりません。それには、サステナビリティ向上の取り組みに関する進捗共有も含まれます。CSRDでは非財務報告指令(NFRD)から引き継ぐ要件に加え、より詳細なガイダンスが導入さています。

情報の種類と報告の様式

NFRDと同様、以下5種類の情報の報告が必須です。

  • 環境への影響
  • 社会問題と従業員の扱い
  • 人権の尊重
  • 汚職や贈収賄の防止
  • ジェンダー、年齢、職歴・学歴の各面における取締役会の多様性

上記の項目や事業活動全般に関し、以下の情報の開示が義務付けられます。

  • 戦略
  • 目標設定
  • 取締役会と経営陣の役割
  • 自社やバリューチェーンに関連する主な悪影響
  • インタンジブルズ(無形資産)
  • 報告情報の選定経緯

また、報告内容に深みを持たせるため、以下も求められます。

  • 定性的情報と定量的情報
  • 先の見通しと過去への考察を含む情報
  • 短期、中期、長期の状況を適宜伝える情報
  • 欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に沿った報告

具体的な報告要件は、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)のなかで定めます。企業は一連の情報をまとめたのち、経営報告書のなかで開示しなければなりません。ステークホルダーの目に触れやすくするためです。詳しくは、EFRAGが公開したESRS第一草稿に記載されています。

保証要件

報告の信頼性を高めるため、第三者による保証の取得も義務化されます。企業の報告内容が新たな基準に準拠しているかどうか、公認を受けた独立系監査機関や認証機関が報告内容の監査や認証を行います。監査を受ける際、どの第三者機関を選ぶかは、加盟各国が任意で選択できます。

この義務も段階的に導入されることになっており、まずは最小限の監査による「限定的保証」の取得が必要になります。「合理的保証」などのより厳しい監査が最初から導入されない理由として、欧州委員会がこのような場合における既存の基準を持たないことが挙げられます。

限定的保証は2026年10月、広範な監査による「合理的保証」は2028年10月から取得が義務化される予定です。

デジタルタグ

CSRD報告には、デジタルタグを付けることが義務付けられています。EU企業の財務・サステナビリティ関連情報プラットフォーム「欧州単一アクセスポイント(ESAP)」に自動的に読み込ませるためです。EUは金融部門のデータの利便性を高めるデジタル金融戦略を実行しており、その一環で情報のデジタル化を進めています。

情報のタグ付けは、「欧州単一電子フォーマット(ESEF)規制」の一部として義務化される予定です。最近、タグの細かさなどの技術的なガイダンスが欧州単一電子フォーマット(ESEF)に追加されました。

セクター別の要件

欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)はCSRDの施行に向け、40セクター個別の基準策定を進めています。全般的な報告要件はすでに起草されていますが、企業はセクター別基準にも準拠することが求められます。セクター別の基準づくりは2025年までの3年計画で進められており、影響の大きいセクターの基準は優先的に2023〜2024年に策定されてる予定です。

非財務報告指令(NFRD)からの変更点

The CSRD encompasses more companies and includes more rigorous reporting requirements compared to the NFRD. Below is a summary of the most notable changes. The CSRD:

  • 包括的な報告:より広範囲な報告要件を定めており、必要な情報の種類や深さも増す。
  • 適用対象の拡大:EU域内の大企業すべてと、零細を除く上場中小企業、EU域内に支社や子会社を持つ一部の域外企業に適用。
  • 報告:欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)が定める報告義務。
  • デジタルタグ:報告を情報集約プラットフォームに読み込ませるため、デジタルタグを付けなければならない。
  • 経営報告書への記載:CSRD報告の情報は、自社の経営報告書にも記載しなければならない。
  • 第三者による監査:すべての報告に対し、公認の監査・認証機関による保証を受けなければならない。
  • 説明・定義:「ダブルマテリアリティ」「サステナビリティ指標」「インタンジブルズ」といった重要な事柄の定義が確立している。

上記のうち、ダブルマテリアリティの観点はNFRDで初めて取り入れられました。これは、1. サステナビリティ関連の課題が企業に及ぼす財務上の影響、2. 企業活動が環境・社会に及ぼす影響、という2種類の情報を"マテリアル"(投資判断を左右しうる重要情報)とみなし、両方を報告するという考え方です。一方、米国の規制では、上記の(1)のみに注目する「シングルマテリアリティ」の観点が採用されています。ダブルマテリアリティでは「企業から環境・社会」「環境・社会から企業」という双方向の情報を求められるため、一般的にシングルマテリアリティより要件が厳しくなります。

CSRDでは、ダブルマテリアリティの観念をより綿密に導入しています。すべてのステークホルダーに役立つ広範な情報を、共通の基準にのっとって開示させようとしているのです。投資家が「金融機関向け情報開示規制(SFDR)」の要件を満たす際も、ダブルマテリアリティは役に立ちます。

table comparing characteristics of the European Union’s Non-Financial Reporting Directive (NFRD) and the Corporate Sustainability Reporting Directive (CSRD)

CSRDの施行スケジュール

EUは現在、CSRDの施行に向けたレビュー作業を行っています。今後は段階的に適用が始まっていく予定です。以下、施行までの主な節目を挙げました。ただし、各項目の実施時期は今後変更される可能性があります。

  • 2021年4月:欧州委員会がCSRDを提案。
  • 2022年6月:EU理事会と欧州議会がCSRDについて暫定的な合意を達成。
  • 2022年8月:欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の第一草稿に関する意見収集を完了。
  • 2022年11月:EFRAGが欧州委員会にESRS第一草稿を提出。欧州委員会が採択に向けて検討。
  • 2022年11月:EU理事会がCSRDを最終承認。
  • 2022年12月:CSRDの最終的な条文がEU官報に掲載。加盟各国は1年半以内に国内法にCSRDを反映。
  • 2023年11月:EFRAGがESRS第二草稿を欧州委員会に提出。セクター別、域外企業向け、上場中小企業向けの各基準や、非上場の中小企業向けの任意ガイダンスを追加。バリューチェーンからの温室効果ガス(GHG)排出量に上限を課すため、第一草稿を修正。(すべて予定)
  • 2024年6月:セクター別や中小企業向けの報告基準を盛り込んだESRS第二草稿を採択。(予定)
  • 2025年1月:非財務報告指令(NFRD)適用企業の最初のCSRD報告期限。対象期間は2024年度。(予定)
  • 2026年1月:EU域内大企業(上記以外)の最初のCSRD報告期限。対象期間は2025年度。(予定)
  • 2027年1月*:中小企業の最初のCSRD報告期限。対象期間は2026年度。(予定)
  • 2026年10月:欧州委員会が限定的保証の基準を採択。(予定)
  • 2028年10月:欧州委員会が合理的保証の基準を採択。(予定)
  • 2029年1月:EUに支社・子会社を置く域外企業の最初のCSRD報告期限。対象期間は2028年度。(予定)

*2028年まで適用を延期することも可能。

illustration of important dates related to the European Union’s Corporate Sustainability Reporting Directive (CSRD)

CSRDについてのよくある質問

CSRDの発効により、EUでのサステナビリティ報告は大きく変化します。企業がCSRDに対応する際によくある質問を以下にまとめました。

EUや世界の報告基準との整合性

まず、EUの「金融機関向け情報開示規制(SFDR)」とCSRDの関係を見てみましょう。CSRDに基づく報告には、金融機関がSFDRを遵守する際に必要となる情報が自ずと含まれます。SFDRは金融アドバイザーや金融市場参加者に対し、自社が扱う金融商品・サービスのサステナビリティの度合いを正確に表記するよう求めています。つまり、企業がCSRDの開示を通じて提供する情報は、金融アドバイザーや金融市場参加者がSFDR報告の義務を果たすのに役立ちます。

次に「EUタクソノミー規則」とCSRDの関係を見てみます。同規則の第8条は企業に対し、事業活動のサステナビリティ度合いに関する情報開示を義務付けています。CSRDもまた、サステナビリティについて説明責任を果たし、報告することを企業に義務付けています。

このように、EUは各種の情報開示規制の間で整合性をとっています。域内で活動する誰にとっても調和のとれたサステナビリティ報告要件を定めるため、各機関が連帯して取り組んでいます。こうした取り組みは、ステークホルダーに包括的で比較可能な情報を提供します。そして、企業にとって報告業務の負担を最小限に抑えることにも役立つでしょう。EUはリソースの活用効率を高め、2050年までにGHG排出量を実質ゼロにすることを目指しています。CSRD、SFDR、タクソノミー規則はすべて、そのなかで重要な役割を担っています。

世界レベルでも、CSRDは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」のガイドラインと整合性があります。TCFDの目的は、企業が抱える気候関連のリスクや機会について、ステークホルダーが正確に把握できるようにすることです。G7(EUと日米など7カ国で構成)は2021年、TCFDの推奨事項に沿った気候関連報告を義務化することを公約しました。CSRDの発効により、EUはこの公約を果たすことになります。

CSRD報告の情報開示基準を作成する機関

基準案の起草は、欧州委員会に代わって「欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)」が担っています。EFRAGは、EUが過半数を出資している民間団体です。EFRAGの最も重要な役割は、EU規制として国際報告基準を導入することに関して、欧州委員会に助言することです。

EFRAGは基準の導入に先立ち、EUの各機関に専門的な助言を求めています。具体的には、欧州銀行監督機構(EBA)、欧州証券市場監督機構(ESMA)、欧州保険・年金監督当局(EIOPA)、欧州環境庁(EEA)と意見交換を行なっています。

EFRAGは、各機関との対話を通じ、様々な組織が基準に合意すること、そして、CSRDと関連法令の一貫性の確保を図っています。

CSRDを遵守しなかった場合

原案では、不遵守企業の名称公表や違反行為に対する中止命令、制裁・罰金など、幅広い措置が示されています。

また、監査(法)人と報告企業に説明責任を果たさせるため、調査と処罰の仕組みを設けることが加盟各国に求められています。現時点で、不遵守への罰則は決定していません。

このほか、法的な罰則ではありませんが、CSRDを遵守しない企業は投資対象から外される可能性もあります。投資家がポートフォリオを組む際、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視する傾向が強まっているからです。

CSRD報告への準備

CSRD報告をこれから始める企業は、社内におけるデータ管理や報告業務のシステムに関して、大きな変革を迫られるでしょう。多くの企業では、新しいシステムの構築などに多額の初期投資が必要になるかもしれません。社内で報告担当部署に十分なリソースが賄われず、業務が立ち往生するというような事態も起こり得るでしょう。

CSRD報告に備える企業に推奨する3つのステップを以下に紹介します:

  1. 担当者の教育:データ収集の責任者をはじめ、CSRD報告の担当チームに学習機会を与えましょう。自社事業に対するCSRDの影響、CSRDの遵守で各自が責任を追う範囲、正確なデータ収集が重要となる数々の理由など、具体的な項目をいくつか挙げて、学んでいくのをお勧めします。
  1. CSRDや関連法令の施行スケジュールの把握:CSRDや関連法令が発効する前に、全体的なスケジュールを把握することで、報告業務をスムースに計画することができます。一方で、規制状況やスケジュールは刻々と変化する可能性もありますので、常に最新の情報を知っておくことが極めて重要です。

    たとえば、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)はまだ完成していません。今後作成が進むうちに、これまでは範囲外だったデータの開示が求められる可能性もあります。
  1. ソフトウェア導入の検討:「気候管理・炭素会計プラットフォーム(CMAP)」など、報告用ソフトウェア導入も検討する必要があります。ソフトウェアを利用することで、これまでマニュアル作業で行なっていたデータ収集・入力・分析に費やすリソースを節約できます。

    マニュアル作業でのデータ収集・入力には、通常多大な時間と労力がかかります。こうした業務を自動化することは、報告業務全般で見ても大幅な効率化となります。企業のサステナビリティへの取り組みに関する分析方法は、時間の経過とともに改善されてきました。これまでのように定性的なデータだけに頼るのではなく、現在では効果的な戦略として、定量的な情報と定性的な情報の両方をベースラインとして取り入れるようになっています。
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